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読み聞かせ 

Fairy【双子の妖精のお話】※よい子の皆さんは約束を守れますか?C'est promis

 



むかしむかし、とてもたくましく勇気のある双子の兄弟がいました。ある日、双子の兄弟が森を歩いていると声が聞こえてきました。耳をすませると可愛らしい声がします。声の方へ行くと、そこには可愛く花のように美しい双子の妖精がいるではありませんか。

美しい双子の妖精は言いました。「私たちと結婚してください。結婚してくださるのならば、あなた方をとても幸せにすることを約束します。そしてあなた方のように、たくましく勇気のある息子をうみましょう。」双子の兄弟はとても嬉しく喜びました。双子の妖精との結婚を快く引き受けることにしました。兄さんは姉さんの妖精と結婚し弟は妹の妖精と結婚する約束をしました。美しい双子の妖精も嬉しそうに双子の兄弟を見つめます。そしてこういいました。「夜が明ける前に森の教会へいらしてください。何も食べずにいらしてくださいね。結婚式をあげましょう。くれぐれも、一口もなにも食べずに、水の一口も飲まずに来て欲しいのです。約束を守ってくださらないと不幸なことが起こってしまいます。」

ステンドツリー

C'est promis

水彩バタフライ14

双子の兄弟は「わかりました。約束は必ずまもりますので安心してください。」と言い残すと家にもどり、結婚式の準備をしました。お母さんに夕食をすすめられても、水一滴飲みませんでした。夜明け前に間に合うように双子の若者はこっそり家を抜け出し森の教会に向かいました。でも途中の畑の道で弟は大ムギの一粒をとって、よく実っているかどうか歯で噛んで試してみようと、口に入れてしまったのです。

教会につくと、妹の妖精は悲しそうな顔で弟に言いました。「残念です。あなたは私との約束を守ってくれませんでした。結婚できれば私は人間の娘になり、あなたに幸せのすべてをあげられたのに…。」妹の妖精は森にさしこむ月の光の中に消えてしまいました。弟は、悲しそうに言いました。「兄さん、どうか幸せになってください。私はこれから旅に出ます。」弟も教会を出て行きました。残された双子の兄さんと双子の妖精の姉さんは、弟を見送ると結婚式をあげました。結婚式のあと、妖精は兄さんにたのみました。「これから先どんなことがあっても、私のことを気が変だとか、妖精だとか言わないでくださいね。約束してください。」兄さんは、やさしく妖精をだきしめ「そんなことは言うものか。約束します。」と答えました。

主人となった兄さんと奥さんになった妖精はとても仲良くくらしました。7年の月日がたったころ二人は大きな屋敷で7人の元気な男の子を育てていました。ある日、主人は町へ出かける用事ができました。妖精は主人の留守中に空を見上げました。そして畑で働く人たちに向かって言いました。「みんな、もうすぐ嵐が来ます!今すぐにムギをかりいれなさい!」
しかし畑の人たちは口々に言いました。「奥さま、こんないい天気の日に嵐なんぞ来ませんよ。それにムギの刈りいれは一週間先の方が成長してふくらんでいいムギになります。」でも妖精は「それでも、今すぐにムギをかりいれなさい!」と、ゆずらないので、畑の人たちは仕方なくかりいれを始めました。そこへ、主人が帰ってきました。畑の人たちからわけを聞くと、怒って奥さんにこう言ってしまったのです。「こんなに空が青いのに、なんてことを言うのだ。お前は変なんじゃないのか!」そのとたん、奥さんの顔色が青ざめました。「あなた、そのことばは言わない約束だったのに…。」そして妖精の奥さんは風に乗り空へと飛んで行ってしまいました。そのあと、空にはまっ黒な雲が広がり、カミナリが鳴りひびいたかと思うと、洪水になりそうなほどの大雨がふったのです。主人は妖精を探して、さまよい歩きました。けれどどうしても、妖精を見つけることはできません。七人の息子たちは、お母さんを恋しがって泣きました。

花芽

Fairy 

ふわふわ雲

何日かたった夜明けに7人の息子たちのところへ妖精がやって来ました。そして、金のくしで一人ずつ髪をといてやりました。「お母さんがこうして会いに来ることは、絶対に秘密ですよ。もし誰かほかの人に知れたら、もう会えなくなるのですよ。」7人の息子たちは、その約束を守りました。けれども、いつも髪の毛がきれいになっている息子たちを不思議に思い、主人は夜明けに、こっそり子ども部屋をのぞきました。すると妖精が来ていたので、主人は子ども部屋にとび込んで、ひざまずきました。「どうか、お願いだ。このままここにいておくれ!」妖精はさけび声をあげて、どこかへ逃げていきました。それから、二度と姿を見せることはありませんでした。  (おしまい)

月
水彩バタフライ14
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